第26章

酒井初音が去ったあと、御影怜司は床まで届く窓の前に座り、陰りきった表情で沈黙していた。

伏せた視線のまま、薄い唇に指先を当てる。眉間に冷たい影が寄り、瞳の奥で病的な暗い光がゆらりと蠢いた。

「三村俊輔」

闇から長身の男が一歩、姿を現す。三村正明に似た顔立ちだが、輪郭はより硬く、骨ばった迫力がある。体格も同じく大きい。

「御影社長。調べましたが、酒井初音は……お身内の方々の背後にいる、いずれの勢力とも接点がありません」

「それと、先ほども意図的に接近はしましたが、隙を見て手を出す様子はなし。社長に対しては、純粋に色仕掛けの類かと」

「ただ、深く隠している可能性は否定できません」

...

ログインして続きを読む